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喜怒哀楽記

喜・怒・哀・楽・を順番にテーマにして雑記書いていきます。

【喜】幸せの分岐点

 子供の頃から大好きだった「赤毛のアン」シリーズ。

 

親が持ってたアニメや、借りてきた映画のも見たけど、私は小説がいちばん好き。

アンの舞台になったプリンス・エドワード島の写真集とかも、見るの好きだけどね。

 

アニメはわりと原作のイメージの映像化がうまいなー、って思ったけど、実写の映画のは、アンがぜんぜん違うー、って、そこがひっかかりすぎて好きじゃなかった。

実写のマリラとマシュウはぴったりだったけど、リンドおばさんとかダイアナもぜんぜん違うよね。(私のイメージでは)

アニメはアンの声がすっごいカン高くて、それが苦手。

 

アンはぜったい小説で読むのがいちばん。

 

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

 

 

親が全巻もってたから、私は繰り返し繰り返し、なんども読んだ。

でも、このシリーズ、アンじゃなくてアンの村の人たちの話だけっていう巻もあるし、結婚してからはアンの子供たちが中心になったりしてて、ずっとアンが主人公っていうわけじゃない。

 

いちどは私も全巻読んだけど、そのあと、「繰り返し繰り返し」っていうのは、このシリーズの中の何冊か、だけ。

 

まずは1巻目の「赤毛のアン」ね。

それと。

アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ〈3〉 (新潮文庫)

アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ〈3〉 (新潮文庫)

 

 アンが大学に通う4年間、「パティの家」って名づけた家を借りて、友だちと4人でルームシェアする話。

 

アンの幸福―赤毛のアン・シリーズ〈5〉 (新潮文庫)

アンの幸福―赤毛のアン・シリーズ〈5〉 (新潮文庫)

 

 アンが校長先生になって下宿中、医大生のギルバートに送る手紙で構成されてる巻。

こんな大長文の手紙を何通も読み続けたギルバートの愛ってすごいよねー。

ってぐらい、手紙長すぎ。

 

この3冊だけはすごい好きで、繰り返し読む時は、いつもこの3冊のうちのどれかを読んでる。

その中でも私は「パティの家」の話がいちばん好き。

 

アンのシリーズの中では、アンも好きだけどマリラとマシュウとルビーが私のお気に入りで、それ以上にいちばん好きになったキャラクターが、パティの家のルームメイトのひとり、フィリパ・ゴードン。

 

すっごい美人でお金持ちで、すごいモテて、自分でもお金持ちで美形の男じゃないと結婚なんてしない、っていつも言ってて。

それなのに、フィリパは、すっごい貧乏でぜんぜん美形じゃない神学生と相違相愛になって、貧乏な結婚を決意しちゃうの。

 

自分の価値観が、すとんと変わっちゃう恋。

そんな恋に憧れたわけじゃなくて、なんかフィリパの潔さがすごい好き。

 

反対に、アンの恋愛は、恋愛小説によくありがちで、「本命」とほんとは相思相愛なのに自分の気持ちに気づけてなくて、っていう、うろうろする過程がある。

ギルバートを最初は嫌ってムシして。

その感情のこじれが解けて、親友になるけど、ギルバートが自分に向ける恋愛感情を迷惑がって。

そんなアンも、違う男に恋をして、つきあって。

でもプロポーズ受けた時に、自分がその人に恋してなかったことに気づいて。

 

こんなふーに、アンがギルバートと恋人になるまで、いろいろこじれてる。

それでも、ふたりはやっと相思相愛になって、結婚するの。

 

赤毛のアン」はギルバートとの恋愛小説、っていってもいーのかもしれない。

でも私は、そーいう部分にはぜんぜん惹かれなかった。

 

私が「赤毛のアン」にあんなに夢中になったのは、アンが勉強を通じて、自分の進みたい道を切り開いていったから。

学校にもちゃんと通わせてもらえなかった孤児のアンが、男の子と間違えられてグリンゲイブルズでひきとられることになって。

そこではじめて、ダイアナっていう友だちと、学校っていう勉強できる環境をアンは手にいれて。

 

アンは自分の想像力でいろんなふーに生活に楽しみを膨らませてって、アンに魅了される周囲の人たちと楽しい繋がりを増やしてって。

 

そーいう、アンの生活がどんどんハッピーになっていく話でもあるんだけど、私がこの物語でいちばん惹かれたのは、アンがすごい勉強好き、ってとこだった。

 

自分とおなじぐらい勉強ができるギルバートをいつもライバルって意識して、トップの成績をとろーと勉強頑張るの。

そーすれば、マシュウやマリラを喜ばせれるから。

 

だれからも愛されない、だれからも欲しがられなかった孤児のアンは、グリンゲイブルズではじめて、自分の居場所を得て、それを失いたくなかった。

 

マリラから仕込まれる家事はどれも苦手だったけど、勉強は好きなアンは、優秀な成績でマシュウとマリラに「自分をひきとってよかった」と思ってもらう。

 

女の子は家の手伝いをして、家事が得意になって、大人になれば結婚して、家の中のことをやって子育てすればいい、っていう時代に。

アンは、どんどん勉強して、すごい優秀な成績おさめてって、大学まで進学する。

 

マシュウもマリラも、「家の手伝いさせるためにひきとった」はずなのに、アンにはそれを押し付けないで、アンがどんどん上の学校に進んでいくのをすごい喜んで。

 

勉強をすることでアンは賢くなれて、古い女の生き方じゃなくて、想像力の豊かなアンらしい自由な生き方をするんだろーなー、ってワクワクしながら読んでた。

 

でもね。

アンは、ギルバートと結婚すると、あっさりと、「学校」っていう世界から離れちゃう。

もう教えることがおしまい、っていうことに喜びすらいだいて。

 

 

アンの夢の家―赤毛のアン・シリーズ〈6〉 (新潮文庫)

アンの夢の家―赤毛のアン・シリーズ〈6〉 (新潮文庫)

 

 

赤毛のアンは、この「夢の家」から、結婚生活の話に一変する。

既婚婦人になったアンは、分別もつくよーになって、医師として働くギルバートに自分は家をまもることで尽くして。

ギルバートの子供を何人も生んで、子供を育てて、ギルバートの浮気に悩んで。

 

私は、アンが結婚してからの話は、繰り返し読む気にならない。

結婚してから、私にとって、アンの世界は一気につまんなくなっちゃった。

 

この時代だから、女の人の幸せはやっぱりこんな形でしかないのかな。

どんなに勉強しても、どんな男たちより優秀でも、学校の校長にもなれても、でも、結婚したら、それぜんぶ捨てて、夫が基準になる生活がすべてになっちゃう。

 

新しい夫婦、っていう形にもならなかったアンの物語。

アンはちょっと個性的なキャラクターだけど、妻として、母として、とってもありがちなストーリーが後半、だらだらと続くだけ。

 

勉強をすることで、グリンゲイブルズの子、になりたかったアンは、マシュウが死ぬ前日、アンは、自分が男の子じゃなくてもマシュウに受け入れられてたことを知る。

マシュウは、アンをそのまま受け入れて愛したんだよね。

 

ギルバートも、アンがどんなにひねくれたことしても、ずっとアンを思い続けてて、アンをぜんぶ受け入れて愛してる。

 

アンは、勉強することで自分の居場所をつくる必要なんてなかったの。

だから、自分をそのまま受け入れてくれる人と結婚したら、あとはその家を守るだけ。

 

アンが求めていたのは、想像力で広げていった大きな世界で自由に生きる、ってことじゃなくて、あくまでも自分の居場所を探しつづけていたんだと思う。

それを見つけて手にいれた途端、アンの世界はそれを取り囲む枠でおおわれて、その枠からアンはもう出よーとしなかった。

 

アンの喜びは、私が思い描いてたものとぜんぜん違った。

勝手にアンに自分の憧れをかさねてた私は、アンが結婚してから、ぽつんと取り残されちゃった気分になって、アンの家の前から立ち去っちゃった。

 

私にはわからないアンの喜び。

 

結婚してからもアンは変わってないよ、って人もいると思うけどね。

 

「アンの夢の家」は、

アンの世界のなにに惹かれていたのか、人それぞれに感じてるアンシリーズの「好き」っていう感情の分岐点になってると思う。

 

 

 

 

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